京天の日ですん
思うだけ。伝わらない。
いつもと変わりのない部室。いつもと変わりのない俺自身。
日々変わり続けるアイツ。
放課後の部活後のグランドに見える、ふたりのセカイ。でも、俺の目にはゆがんで見えた。
「 ご め ん 」
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あの日は、秋のくせに暖かい気候だった。紅葉で、少しずつ色ずいてきたイチョウやサクラの木が、とても綺麗だった。
家から学校へ向かう通学路は、あまり好きではない。ひとりを好む俺は、騒がしいところが嫌いだ。が、アイツがいればそんなことはなかった。
矛盾なわけだ。このことについては自覚はある。俺はアイツが好きだ。
「剣城おはよー。」
ふたつの声変わりのしていない声が、校門をくぐるちょっと前に聞こえた。この声はたぶんアイツと西園だろう。
「おう、おはよう。」
別に、無視する必要もないのでとりあえず返すだけの挨拶をする。
そっけない態度なのに、ふたりは俺と両隣で会話をしていた。時々俺に話をふったりしていた。それは、毎朝のように続いていた。俺はこの時間が好きだった。
「ねー。最近さぁ、狩屋と葵さー、付き合い悪いよねー。」
信介がポツリと思い出したように、つぶやいた。
「言われてみれば、朝早かったり、帰り遅かったりするよね。」
天馬は、下をうつむき、さみしそうにつぶやいた。ふれてほしくない話題だということは、口に出さなくてもわかった。わかり過ぎるくらいだ。
「影山は元々だよな。」
俺はボソッとつぶやくとふたりは、おなかを抱えて笑い出した。
「輝はおじがすごいもんねー。あのグラサンのオジサンめっちゃ怖いもん。」
信介は目に丸を作ってめがねにして言った。
天馬は俺の制服の裾を引っ張って、小声で「ありがとう」と言った。
こくんとうなずくと、先を急いだ。
「待ってよ!剣城!!」
天馬の声が秋の雷門中に、響いていた。
なんで、かっばたのがわかって、俺がお前のことが好きってわかんないんだよ。
そんなことを、着替えながら思っていると
「リア充のにおいがする。」
と信介が真顔で、みんな(今は狩屋よ空野以外の一年だが)に聞こえるくらいの声で言っていた。
「だとしたら、狩屋くんと空野さんだと思います。」
影山が真顔でそう言った。
その時の、張りつけただけの笑顔が忘れられなかった。
〈END〉
京天は正義ですん。マサ葵も正義ですん。京マサも正義ですん。ではでは~🎶