京マサの日!! 遅れた(泣)
月と夕日
「ねー、最近さぁ、狩屋くんカッコイイと思わない?」「あ~わかる。でも私転校してきた時から、気になってたよ。」
秋の涼しい風が通りすぎる午後、影山と体育館に向かうとき、俺らと同じクラスの女子がしていた話題がと手も気になった。俺はあんまり、女子の話は興味がない。というか、女子に興味がない。年頃の男子なら、女子のことを気にして、カッコよくしたりするそうだが、俺にはどうでもよかった。なぜかと皆問うだろう。なぜなら俺は、ホモだからだ。それに、女子の話題が”狩屋”俺の恋人だから気になったってわけだ。
「狩屋くん、モテますねぇ~」
影山は、フワフワと紫の髪の毛を揺らしながら、笑顔で女子に聞こえない程度の音量で話しかけた。
「今に始まったことじゃない。」
そう短く答えると、「ふーん」と、つまんなそうにして、体育館シューズの袋を振り回した。
「そういえば、ふたりって名前呼びしないんですね。」
前に見える浅葱色の髪の毛を見ながら呟いた。
そういえばそうだった。狩屋は時々「京介」って呼ぶけど、俺は呼んだことない。
「やっほ!!狩屋!」
影山は狩屋に飛びつくと、何やら話していたようだ。
皆が”狩屋”と呼ぶから、俺も呼んじゃうんだ。
いつか、マサキって呼べる日が来るといいのだけれど。
*・゜゚・*:.。..。.:*・・*:.。. .。.:*・゜゚・*
「もう、暗いや。夜が早くなったね。」
部活帰りの6時ちょっと前。道はすでに、暗くて街灯がいくつか黄色の光を発していた。丸い月がちょこんと顔をだしていた。
隣にいる狩屋は、下をうつむいて歩いていた。
「なぁ、マサキ…。今日さぁ、嫉妬みたいのした。」
「…はぁ?」
狩屋は、マサキっと呼ばれて嬉しいのか頬が赤く染まっていた。
「だから、恋人っぽいことしよう」
「…手、つなぐか。」
はぁ、とため息をつくと、手を差し出してきた。俺を見上げると上目づかいになるのが、とても可愛らしかった。
別に、手をつなぎたいわけではなかったが、いいかと思ってしまう。なぜなら、奪ってしまえばいいのだから。
差し出された手を顔に近づける。「ちょっと、剣城君!」なんて言葉を右から左へ受け流すと、手にキスをした。
「一生、俺の物」
マサキの顔が、今はもうない夕日のように赤く照らされていた。
京マサの日おめでとう!!!